2018/08/13 18:00
2018年のGWに話題を呼んだ(?)ポップアップストア「ROBE屋」に続き、ROBEがお送りするリアルイベント第二弾となる「おもいで縁日」が開催決定!お盆明けの2018年8月17日(金)〜19日(日)の三日間限定です。
今回は、東京を象徴する新鋭ブランドのサンプルや18AWの新作、貴重なアーカイブアイテムなどを揃えた、まさに夏の思い出作りにふさわしいイベントとなっています。「おもいで縁日」という名の通り、一着ずつにデザイナーの思いや制作秘話を添えたり、ROBEメンバーなどによる思い出の服のフリマをしたり、めちゃくちゃ普通にヨーヨー釣りや輪投げなどをしたり、ROBEらしく皆様とファッションを楽しめたらなぁ、と思っています。
出店ブランドさんはこちら
DANIELA MARIBEL / EAUSEENON / INFANONYMOUS / jean genie & hungry freaks, daddy / kéngo / Romei / wool,cube,wool!
各々のご紹介や出品アイテム詳細はROBESNSにて随時行っていくので、ぜひ #おもいで縁日 でチェックくださいませ!
#思い出縁日 出展ブランド紹介
INFANONYMOUSはイギリスにてファッションを学び、コレクションブランドのデザイナーアシスタントを経て独立した福嶋 達郎さんが手がけるブランドレディー ガガを始め、多くのアーティストにも衣裳を提供してますhttps://t.co/LJU0tfobKL pic.twitter.com/PoFJLCSJCE
— ROBE (@robetokyo) 2018年8月9日
さて、今回のイベントはお祭り!つまりカオス!という事で、サンプルセール・SSセール・AW新作販売・フリマのごった煮なのですが
\\\ジャジャン///
\\\問題です///
サンプルセールの「サンプル」って何かわかりますか?
「サンプルってことは生産されなかった“ボツ”なんでしょ。」
「とりあえず安く買えてラッキーなやつ!」
あぁ、聞こえる...そんな声が聞こえる...答えはズバリ......その道のプロに、聞いてきました!
今回「洋服のサンプル」について教えてくれたのは、衣装デザインや企業のサンプルなど幅広く請け負っている、フリーランス縫製士兼パタンナーの座波ケニアさん(@kekekeity)。その明るいキャラクターと、ものづくり側の豊富な経験からくる的を得た発言で、ツイッター界隈でファン多数!
【アパレル業界で信じちゃいけない言葉】
・昨日の夕方佐川で送ってます
・これ絶対追加入れます
・さし色から売れる
・なんでも縫えるよ
・資材明日揃います
・今週仕様書送ります
・この色が1番売れてます
・ファックス流しました
・順調です【アパレル業界で信じれる言葉】
・間に合わない— 座波ケニア@衣装屋 (@kekekeity) 2018年8月8日
ああめちゃわかるぅー
わたしの場合
サンプル縫ったり型紙引いたりするしトワル(白い布で仮縫い)つくるけどどれも企業秘密段階だしサンプルは没になったものもアップダメだしで結局なにしてる人?的なのある。 https://t.co/acTeXJWBbQ— 座波ケニア@衣装屋 (@kekekeity) 2018年8月1日
サンプルとは何か
さっそく「サンプルって何?」という本題を直撃。ファッション業界の人ならなんとなくわかっているとは思いますが、一般読者の皆さんはあまり耳にすることがなく、イマイチ何かわからないですよね。
多くあるのが「サンプル=B品」という誤解。確かに「サンプルセール」と聞けば、定価の半値以下で手に入るお得な機会を想像するので、そういう認識になるのもわかります。ですが、
「出来上がったサンプルを見て、量産(=製品化される物)では糸の色を変えたり、ちょっと丈を短くしたり幅を広げたりしているので、サンプルと商品では出来上がりが少し違う。だからといってサンプルが悪いわけじゃない、それは断じて違う!」
と座波さんが熱弁する通り、サンプルは安く売られるからといって不良品という訳ではありません。
B品とは、量産時に上がってきた時に汚れていたり、ほつれていたり、プリントが一部ずれていたりetc...商品として作ったのに、何らかの要因で完全な状態では販売できないもののことを指します。一方サンプルは「量産にかける前の試作品」なので、店頭に並ぶアイテムとは若干違う点がありますが、B品とは異なるのです。
サンプルの役割
ではサンプルは何のために作られるのかというと、その名の通り「お試し第一号」としての役割があります。たった一着のサンプル作りの過程には製品化にかける並々ならぬ努力が伺えて、この話を知ったら涙なしには着られないはず...ぐすん...
例えば、一着のワンピースが作られるのにどれくらいの工程があるでしょうか?
「デザイナーがデザインしたものをパタンナーが型紙に起こし、生産管理が生地や資材を集めて、サンプルを作る工場に渡します。サンプルが上がったら、それが指示通り作られているかをチェック。修正が必要な場合はもう一度サンプルを作ったり、そのままでOKならばその指示通り量産にかけます。」
どんなに素敵にデザインできたとしても、洋服は人が体を入れて初めて完成するプロダクト。商品として売るなら、着られなかったら意味がありません。そして料理と同じく、パターン、生地、糸、ボタンなどの装飾品など様々な材料がかけ合わさってできるので、実際に作ってみないとわからない部分がたくさんあるのです。
「縫いやすいように生地を変えようとか、着脱しやすいように首をもう少し広げようとか、サンプルごとに色々なストーリーがあるんです。洋服として快適に着られるか、シワになりにくいかなどを、そのサンプル一着でたくさん検証します。」
なるほど。本当に実験台だ。だからサンプルセールに行くと「3cm着丈短くなります」「フリル無くなります」なんて書いてあるタグがぶら下がっていることがあるんですね。
サンプルは「高い」
洋服を製品化する上でサンプルがいかに大切かわかったでしょうか。商品を作るには、機能面も価格の面でも妥協はできません。多くの人の目に触れる商品になる前に、レシピを考案するのと同じく、サンプルを作ることで試行錯誤が必要なのです。
サンプルは一着しか作られないこともあれば、何回か修正を重ねて数着作られる場合も。大抵の場合が一着ずつでの生産になるので、当然ロット数が多い量産の場合よりコストはかさみます。
「サンプルは、そのたった一着のために、職人さん全員が動いています。作り手にとっても想像していた洋服が一番最初に形になる瞬間なので、出来上がりは毎回ワクワクするんです。」
サンプルは作り手にとって待望の第一子であると同時に、人気者でもあります。出来上がったサンプルは本生産の見本として工場に持っていかれたり、プレスルームに置いて雑誌やTV撮影などのリースに対応したり、営業資料として持ち出されたり、各方面からラブコールが絶えません。実際、ROBEの撮影で借りようとしていたアイテムが「いま工場行っちゃってるんです!」と借りれなかったことも。
唯一無二の存在であるサンプルは、しかし、そのサンプルという役回りによって陽の目を見る事はありません。あぁ刹那、サンプル人生。
実はROBEは「サンプルセール」に反対していました。だって過去のアイテムとはいえ、商品とほぼ変わりないものが60,70,80%オフで買えてしまうので、ブランドの価値を下げてしまうのでは、と思っていたから。「定価で買わなくでもサンプルセールで買えばいいや」なんて思われてしまったら、特に若手ブランドにとっては大きな痛手です。
でも、考えが変わりました。どんなタイミングだったか定かではないですが、急に。
「いや、待てよ?サンプルだって雑に作られているわけではないし、なんならめちゃくちゃ手間がかかっているのでは...?????」
そう思った瞬間、サンプルという存在が尊く思えてきたのです。一瞬の栄光が眩しかったのもつかの間、ショーウィンドウに飾られることもなく、誰かのおもいでの一着になることもなく、陽の目を見ずに倉庫に仕舞われてしまう...
そんな事はさせまい、と考えを新たに「サンプルセール」へと挑むことになりました。生産過程で作り手みんなのワクワクが詰まったその一着を、新たな持ち主へと繋ぐ橋渡しをしたくて。
なので、出品アイテムには一言ずつデザイナーからのコメントが添えられています。どういう思いで作られたものなのか、どんなストーリーがあったのかなど。中には「着れないと言われたけど自分では可愛いと思ってる」なんていうコメントもあります(笑)
今回のイベントを行う上で、サンプルについて読者の皆様にも知っていただきたく、その道のプロである座波さん(@kekekeity)にわかりやすく解説していただきました。どうもありがとうございます。みなさんも衣装製作などで困ったらぜひ連絡を!
ということで、愛と情熱が詰まったサンプルちゃんたちを、おもいで縁日では大公開いたします。ROBE一同お待ちしていますので、ぜひ遊びに来てくださいね!
過去の《連載:ファッション業界って何?》はこちら↓↓↓
第零回:パリコレって何?
第一回:ファッションショーって何?
第二回:展示会って何?
第三回:コレクションって何?
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