2018/02/07 18:22
こんにちはROBE編集長のazuです。水曜のケセラセラというコラムシリーズを前ROBEウェブマガジンからやっているのですが、こちらに移行して続きをば。今年初めての水ケセは通算第38回目です。今日は私の変な美意識と、人に「自分の見え方」を与えてもらうことのお話。
「女の子らしい」のギャップ
「女の子だもん、いつだって可愛くなくっちゃ♪」これはかの藤井リナ大先生が雑誌のコラムか何かでおっしゃっていた格言です。中学か高校生だった私は、大変衝撃を受けたことを覚えています。もちろん彼女の美貌があるからこその発言ということは重々承知していますが、「そうだよね、可愛くいて、いいんだよね!?」と謎に納得したのでした。
というのも、「女の子らしい」と言われることに対する「中身と外見のギャップ」に悩んでいた時期だったからです。外見や持ち物はクラスのみんなから「女子力高いね〜」「いつも可愛いもの持ってるね〜」(ちなみに女子校です)と言われるのですが、中身ときたらちっとも女の子らしくはなく、廊下でほふく前進をしたり、大股開いてドラムの練習をしたり...大人数でつるむのも苦手。それでも外見は完璧に女の子らしくいることが好きで、自分でも中身と外見のギャップに違和感を覚えていました(笑)
その時に見たこの言葉に救われたんです。「自分の中で自分らしさの統一感を持たせなくてもいいのでは...!」と。見た目は子供、頭脳は大人、みたいな。「女の子だもん」という言い切りは、「女の子だから...」という抑圧された捉え方ではなくポジティブな姿勢だなぁと感心したんです。リナ様が意図した意味ではなく、全然違う受け取りかたをしていると思いますが(笑)
目に見える範囲を可愛くしてたい
大人になった今でもそれは変わらず。いつまで女の子と言えるかなんて無視して、心の中では「女の子だもん」と常に自分を可愛がってあげるようにしています。大人になったらなかなかチヤホヤされなくなりますからね...
女の子から大人の女性になろうとする年齢に差し掛かってきた今日この頃、「なぜ見た目は女の子らしくいたいのか」ということをまた考え始めたのですが、ちょっと気付いたことがあります。ヒントは爪にありました。
メイクはそこまで関心がないのに、ネイルには執着する私の謎の美意識。これは、「自分の目に見える範囲を満足いくレベルにしていたい」という思いからくるらしい。爪先は自分の顔以上に目に入ってくるじゃないですか。だから地爪が見えているとなんだか裸のような気がしちゃうんですよね。そして他人の目をそんなに気にしない性格で自分を甘やかしたいタイプなので、爪先が可愛かったら永遠に自分のことを可愛いと思っていられるからコスパが良いんです。大変自分に甘い。
そこでたどり着いた自分的「女の子らしくいる」ということは、自分の中で自分の合格点を出せる姿でいるということでした。だって「女の子だもん」可愛くいるのは当たり前なんですよ。「可愛くいる」ということは「自分に自信がある状態」だと思っています。
世で議論されている「女の子らしい」論争は、誰に向けられた視点かによって話がだいぶ違ってきます。私が女の子らしくいるのは自分のためであり、それは「自分が可愛くいるとテンション上がるので勝手に可愛くなっときますわ」という超シンプルな感情なのです。モテたいとか、女の子から支持されたいとかではなく、自分に満足したい that's all。
「つめをぬるひと」に塗ってもらった
話をネイルに戻しますと、目に見える範囲の中で自分らしさを着せ替えできるのがファッションの次にネイルだと思っています。だから小さい時からメイクよりネイルが大好き。爪という小さな小さなキャンバスに、その日の気分や最近印象に残った柄や色を乗せていく。ネイルをする時間は、目の前の小さなキャンバスに集中することでストレスを忘れる、私なりのリラクゼーションタイムでもあります。
ネイルを可愛くすることも好きだし、塗っている行為そのものが好きなので、もっぱらセルフネイル派なんですが、最近人生で2回目の「爪を塗ってもらう」という体験をしました。
「つめをぬるひと」@nail_hito をご存知でしょうか。正体不明のその人はSNSで爪作家と名乗り、キラキラゴテゴテのいわゆる「ネイルアート」ではない、シュールでアートでキッチュなつけ爪を作っています。「つめをぬるひと」を知ったきっかけである「BB-8を転がす人」を描いた爪にはとても衝撃を受けました。何だろうこれは。
爆走BB-8 pic.twitter.com/1TA3c8rvSn
— つめをぬるひと (@nail_hito) 2017年12月16日
そんな謎の「つめをぬるひと」にマニキュアを施してもらえるイベントが「富士山展1.0 ー来るべき未来のためにー」という展示内で開催されるというので、「これは!」と思い年始に駆けつけました。ネイルを人にしてもらうのは成人式にしたジェルネイルの一回しかないので、個人的にかなりセンセーショナルな体験です。
デザインテーマとしてオーダーしたのはROBE issue.2のテーマでもある「ヒーロー」。ヒーローはそれぞれの心の中にいて、形はひとつではありません。じゃあ人々はヒーローをどう表現するだろうと思い、issue.2 誌面でも20人のショップスタッフに「あなたのヒーローは誰?」というインタビュー企画をしました。「つめをぬるひと」が私に乗せてくれたヒーローは、なんとも優しいマットブラウンとドット柄。強さではなく、きっと優しさがヒーローなんだろうな。
自分の視界に入るものが可愛く美しくあることに快感を覚える私にとって、爪を自分以外の色に染めてもらうということは人に服を選んで着せてもらうのと同じこと。自分の意思から生まれる表現以外が体に乗るということは、大げさに言えばその人に自分の見せ方を預けるということでもあるのです。
小指だけにツヤのあるラメレッドを塗り、マットブラウンとクリアにはゴールドの小さなドットを配置。自分では絶対にしない組み合わせや柄を与えられて、まるでピカピカの洋服をもらった小さな子のような気持ちになりました。女の子らしいネイルかと言われればそうではないかもしれませんが、私にとっては最強に「女の子らしい」手元。だって、何度も見たくなったり、誰かに伝えたくなったり、気づいて欲しかったり、そんな気持ちにさせてくれるから。
可愛いって、そういうことだと思うんですよ。可愛くいる、女の子らしくいる、自信を持つ。自分で自己満的に可愛くなるのは精神的にも楽だけれど、たまには人に自分の見せ方を預けて、「可愛い」のタネをもらうのも悪くないなぁ、と思った次第です。女の子だもん、可愛くいてもいいでしょう?
text. Azu Satoh
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