2018/01/20 13:02

どうしても手放せない、必ず身につけている、私と言えばコレ...そんな偏愛しているアイテムはありませんか?【 偏愛至上主義 】では、誰かが愛してやまないアイテムに秘められたストーリーを少しだけ覗き見していきます。ワードローブの中にはいくつものストーリーが眠っているはず。

第1回目はROBE編集長azuが偏愛する「mame」 Vinyl Chloride Chain Bag のストーリー。

勝手にPR大作戦

出会いは2013年のクリスマス。憧れアイテムとしていつか買おうと思っていたmameのPVCバッグ。伊勢丹新宿店で限定発売していた「しゅわしゅわソーダカラー」に一目惚れしてしまったのです。就活に挑む自分へのクリスマスプレゼントとして、そして“海外でのある挑戦”に向けたキーアイテムとして購入しました。

フランス・リヨンに1年間留学していた私は、月に1度はパリに上京。雑誌やTVでは見たことあるけど「パリコレ」って本当にあるの?とお馬鹿な疑問を抱き、会場を調べ、チュイルリー庭園に設置されているショー特設会場を覗きに行ったことが全ての始まりでした。小さなデジカメ一つでスナップを撮ることに夢中になってしまった私は、日本に戻ってからも体感した熱が忘れられず、帰国から半年後の2014年2月に再び渡仏を決意。

就活真っ只中で第一志望の最終面接が控えていましたが、「パリで勝手に日本ブランドをPRしてきました」と言ったら面接のネタにもなると思い、他の面接を辞退してまで飛ぶことに。「勝手にPR大作戦」の開始です!

スナップに撮られて日本のブランドを世界にアピールすることが狙い。「それどこの服?」と聞かれるのを目標に「せっかく行くなら全身日本のブランドで突撃しよう」と、全9コーディネート、頭からつま先まで日本のブランドで統一。その中でも一度見たら忘れられないmameのPVCバッグはアイコン的に使おうと気合を入れて投入しました。結果は思惑通り!写真はVOGUE ITALIAのストリートスナップで取り上げられた一枚です。


(引用元:VOGUE ITALIA Vogueistas )

光を吸い込みガラスのように輝くソーダブルーを、レンズが無視するはずはありませんでした。会場でもたくさんカメラを向けていただきましたが、街中でも「どこのバッグ?」と声をかけられるほどの人気です。有名ブランドの路面店で買い物をしていたら、店員みんなが出てきて「美しすぎる!どうやって作られてるんだ?」と興味津々。「そのバッグとても素敵だから、私たちのものも使って!」と、なぜか限定のトートバッグをいただく、なんてことも。海外の気前の良さ(?)に感動しました。

出会いをもたらすラッキーブルー

「これ、mameの伊勢丹限定バッグですよね?」あるショー会場の前でスナップをしようとフラフラしていると、日本人のエディターさんに声をかけられました。突然の出来事に戸惑いながらもパリに来た経緯や意気込みを語ると、「ファッション業界やコレクションに興味を持つ学生が少ない中、わざわざパリまで足を運んでガッツを感じる」と会場の中まで連れて行って下さったんです!まさかの展開に動悸が止まらなかったのを、今でも鮮明に覚えています。

その後、そのエディターさんが大学で特別講義をした時に「わざわざ東京からパリまで行くほどコレクションに情熱を持った子がいる」と、私の話を学生たちにしたようで、「mameの青いバッグを持っている人」として声をかけられることもしばしば。

mameのしゅわしゅわソーダブルーバッグは、たくさんの人との出会いや繋がりをもたらしてくれた大切なアイテム。使いすぎて底に穴があいてしまったけど、修理に出して、いざという時、印象を残したい時は必ず使うようにしています。


青空よりも青いソーダブルーは、こうして私のラッキーカラーになったのでした。

Text. Azu Satoh